
日本IBM、JICA海外投融資基幹業務を刷新 Loan IQで多通貨・多条件に対応するシステム構築
ポイント
日本IBMは、国際協力機構(JICA)の海外投融資業務基盤を刷新した。Finastraの「Loan IQ」を核とする新システムは多通貨や複雑な金利条件を一元管理し、案件登録から完済までの業務効率と正確性を向上させる。日本IBMは設計から移行、運用保守まで支援し、JICAの民間資金動員力強化を後押しする。 日本IBMは26日、国際協力機構(JICA)の海外投融資(融資)業務向け基幹システムを構築し、5月19日に本番稼働を迎えたと発表した。中核プラットフォームにはFinastraのローン管理ソリューション「Loan IQ」を採用し、円・米ドル・ユーロに加えて現地通貨建てまで、多通貨・多様な融資条件を一元管理できる体制を整えた。
JICAの海外投融資は、途上国で民間企業が実施する開発効果の高い事業に長期資金を提供する仕組みで、ODA改革の一環として規模が拡大している。案件数の増加と条件の複雑化により、従来システムでは金利算定や返済スケジュールの設定に手作業が残り、業務負荷やリスクが高まっていた。新システムは案件登録から承諾、融資実行、利息・手数料計算、回収、完済までのライフサイクルをパッケージ標準機能で処理し、ガバナンスと効率性を同時に高める。
Loan IQは世界50大銀行の多くが利用する国際標準ソフトウェアで、柔軟な商品設計や分散した取引データの統合を可能にする。これによりJICAは、将来的な新商品や新興国通貨への対応など、グローバルに変化する金融ニーズを機動的に取り込める見通しだ。
プロジェクトはJICA、日本IBM、Finastraが共同で推進した。日本IBMは公共・金融分野で培った業務知見とFinastra製品の連携実績を活用し、要件定義から開発、既存データの移行、ユーザー教育までを一貫して支援。稼働後も運用保守を担当し、24時間体制でミッションクリティカルな基盤の安定運用を支えるとしている。
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