
TIS、フィノバレーを完全子会社化 14億5000万円投じ地域通貨を全国展開
TISは7月1日、デジタル地域通貨プラットフォーム「MoneyEasy」を手掛けるフィノバレーを100%子会社化し、同日付でグループに迎え入れたと発表した。4月25日に基本合意していた案件で、取得株式数は121,500株、取得価格は14億5,000万円となる。
TISは「金融包摂」「都市への集中・地方の衰退」を重点テーマに掲げ、福島県会津若松市で地域通貨「会津コイン」を運用するなど、地域活性化を目的とした事業を進めてきた。一方、2018年創業のフィノバレーは全国18自治体でデジタル地域通貨を導入し、運用後のコンサルティングまで担う。両社は行政DXやスマートシティ領域でそれぞれ実績を積み上げており、今回の買収で互いの強みを統合する。
具体的には、TISの決済基盤とフィノバレーの地域密着型サービスを組み合わせ、価値交換型のデジタル地域通貨プラットフォームを共同開発する計画だ。会津コイン事業では、再生可能エネルギーの環境価値を地域通貨に変換する構想を推進し、脱炭素社会に向けた住民の行動変容を促す。
フィノバレーが「せたがやPay」「さるぼぼコイン」などで実装した現地決済型ふるさと納税機能は、寄付からポイント利用までをアプリ内で完結させ、送料や仲介手数料の削減と利用者利便性を両立している。この仕組みをTISの顧客基盤に広げることで、自治体の歳入増と地域経済循環の強化を目指す。
TISが2032年までの成長指針として掲げる「ソーシャルイノベーションサービス」戦略では、社会課題の解決を軸に事業を拡大する方針だ。両社は27年度以降に他地域への横展開を本格化させ、29年度までにデジタル地域通貨領域で売上高20億円を目標とする。
地域通貨は人口減少や消費流出に悩む地方自治体にとって、経済循環を高める手段として注目が集まる。プラットフォームの統合によりチャージ、決済、寄付、ポイント取得といった機能を一体化し、自治体・事業者・住民が利用しやすい仕組みを提供することで、持続可能な地域社会の実現を図る考えだ。
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