
三菱UFJ信託など、デジタル証明書活用で金融庁実験ハブ採用
三菱UFJ信託銀行はデジタル証明書(Verifiable Credential、以下VC)を活用した新たな取引時確認方法が金融庁の「FinTech実証実験ハブ」に採択されたと発表した。この実証実験は、同社が主催するDID/VC共創コンソーシアムの「本人確認分科会」にて検討されたもので、犯罪収益移転防止法に基づき金融機関が行う取引時確認の効率化を目指す。
実験では、VCを介して利用者が自身の取引時確認結果を管理し、それを他の金融機関に再利用することが可能となる。この仕組みにより、顧客が金融機関毎に何度も本人確認を行う手間を省きつつ、確認の簡便性と厳格性を両立することが期待される。また、複数の企業が構築した異なる基盤間でのVC流通の相互運用性についても実機検証が行われる予定である。
実証実験の期間は2024年12月から2025年3月までであり、今後の実運用に向けてのガバナンスフレームワーク案の策定も視野に入れている。また、実証実験では銀行口座の開設や住宅ローン契約といった具体的なユースケースを設定して、取引時確認の流れを検証する。クレジットカード発行時の本人確認や証券口座開設といった将来的な展開も考慮に入れた取り組みが進められている。
三菱UFJ信託銀行は、これまでにメタバース空間での本人確認にVCを活用するなど、デジタル化推進の取り組みを進めてきた。非対面取引が増加する中で、安全性を確保しつつ利便性を提供する本人確認手段の確立が求められており、今回の実証実験はその一助となると期待される。
金融庁のFinTech実証実験ハブは、フィンテック企業や金融機関が新しい技術を用いた実証実験を容易に行えるよう支援する枠組みとして設置された。法令解釈の課題解決や監督対応のリスク低減に向けた案件が推進されている。
今回の実証実験は「本人確認分科会」および「ルール整備分科会」に所属する企業が参加し、いくつかの金融機関で実機検証が行われる。実験の成果が法的適合性を得た場合、実運用に移行するための準備が進められ、新しい本人確認方法の社会実装への道が切り拓かれることが期待されている。
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