
金融庁、AI官民フォーラムを6月18日に初開催
金融庁は2025年6月18日、金融分野におけるAIの健全な利活用を促進するため、「AI官民フォーラム」を初めて開催する。金融機関やAIモデル開発者、ベンダー、アカデミア、関係省庁など、官民の多様な関係者が参加し、AIのユースケースやガバナンス構築に関する取組事例の共有、実務上の課題の深掘りなど、多角的な議論が行われる予定である。
このフォーラムは、金融庁が2025年3月に公表した「AIディスカッションペーパー(第1.0版)」の内容を踏まえたものである。同ペーパーでは、生成AIを含むAI技術の進展が金融業界に与える影響や、それに伴うリスクと課題について整理されている。金融庁は、リスクベース・アプローチの下でリスクを適切にコントロールしつつ、経営陣の適切な理解と主体的な関与の下で、顧客利便性や業務効率化の向上に繋がる取組みの進展を期待している。
これまで、金融機関におけるAIの活用は、不正検知や市場分析・予測、マーケティングなどにとどまっていた。しかし、近年では、テキストなどの生成を強みとする大規模言語モデル(LLM)の普及に伴い、更なる業務効率化や顧客体験の向上に繋がるユースケースが登場しつつある。一方で、生成AIを悪用した犯罪や偽・誤情報の拡散などのリスクも顕在化しており、金融分野においても活用の検討が進展する一方で、リスクや規制面から利活用に躊躇する声も聞かれている。
金融庁は、こうした状況を踏まえ、金融機関等がAIを活用したチャレンジに安心して取り組むことができる環境整備に努めていく方針を示している。具体的には、AIのユースケース及びガバナンス構築に向けた取組事例の共有や、規制の適用関係の明確化等を通じて、金融機関等の皆様がAIを活用したチャレンジに安心して取り組むことができる環境整備に努めていくとしている。
今回のフォーラムは、金融庁が主導するAI活用推進の一環として位置づけられており、今後もステークホルダーとの対話を強化しながら、具体的な施策について柔軟に検討を深めていく方針である。金融庁は、金融機関等がAIの利活用に伴うリスクを特定・評価した上で適切に対処し、新たな金融サービスの創出や業務効率化を積極的に実現していくことを期待している。