
KPMGジャパン、不正リスクをAIエージェントで自律解析し監査対応を強化
KPMGジャパンは30日、AIエージェントを活用した不正リスク評価と対応手続の策定業務を開始したと発表した。取り組みにはあずさ監査法人とKPMG Forensic & Risk Advisoryが参画し、監査プロセスおよび企業向けアドバイザリー領域でAI活用を本格化させる。
企業を取り巻く事業環境が複雑化する中、不正・不祥事のリスクは高まり続けている。透明性の確保や法令遵守、内部統制の強化が求められる一方、会計監査では不正リスクへの精緻な対応が必須となり、経営層にも実効性ある対策が課題として突き付けられている。こうした背景を踏まえ、KPMGジャパンは監査とフォレンジック領域で蓄積した知見にAI技術を組み合わせ、新たな不正リスク対応のスタンダードを提示する。
新サービスの中核となるAIエージェントは、企業の公開情報や内部資料を読み込み、フォレンジック専門家が保有する不正知見および外部データベースと照合しながら解析を行う。これにより、従来は個別の担当者に依存していたリスク識別を自律的かつ広範な観点から実施できる点が特徴だ。評価結果に基づき、最適なリスク対応手続を提示することで、監査現場の効率化と不正対応力の強化を両立する。
あずさ監査法人は監査プロセスでAIエージェントを活用し、不正リスクの識別・評価を高度化する。一方、KPMG Forensic & Risk Advisoryは企業向けアドバイザリーサービスにおいて、AIを不正の予防・検知手段として展開する方針だ。両者は知見の共有と技術の連携を通じ、平時からのリスクマネジメント体制の構築を支援する。
今回の取り組みには三つのポイントがある。第一に、AIエージェントの実務導入による不正リスク評価の高度化と監査手続の効率化。第二に、フォレンジック専門家の知見を反映した高度なリスク対応策の策定。第三に、不正予防・検知を目的とする企業向けサービスへの拡張である。これらを通じ、KPMGジャパンはAIエージェント時代の不正リスク対応モデルを確立し、企業のレピュテーション向上と持続的成長を後押しするとしている。
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