
TIS、ニッセイ・ウェルス生命の契約管理をOCIへ移行 Azure連携と一元運用をトータル支援
TISは8月20日、ニッセイ・ウェルス生命の保険契約を管理する基幹システムのマルチクラウド移行を支援したと発表した。OCIとAzureを組み合わせた環境の設計・構築から一元運用までをトータルでサポートし、プロジェクトは2023年1月から2024年9月にかけて実施された。
本件では、TISの「マルチクラウドインテグレーションサービス for Oracle Cloud Infrastructure & Microsoft Azure」を採用。ニッセイ・ウェルス生命は60万件超の保有契約(2024年度末時点)を背景に、2018年からクラウドジャーニー構想を推進し、2021年に100以上の業務システムの仮想マシンをAzureへ、2022年には仮想デスクトップ基盤も移行。続いて、データセンターで運用していたOracle Database搭載の契約管理システムのクラウド化に着手した。
当初は他クラウドも検討したが、Oracleの新規ライセンス購入が必要となり高コストが課題となった。OCIはOracle DatabaseをPaaSとして提供し、ライセンス費用が従量課金に含まれるためコスト抑制が見込め、RACやData Guardも利用可能なことから、DB基盤をOCIに構築し、Azure上の複数業務システムと連携する方針を決定した。
2023年1月からPoCで耐障害性などを検証し、OCI上での安定稼働を確認。設計ではAzureとOCIをインターコネクトで直結し、両クラウドとニッセイ・ウェルス生命間は専用線で接続する構成を採用し、パブリッククラウドでありながらプライベートネットワークに近い環境を実現した。2024年3月以降、複数回の移行リハーサルを実施した上で、週末にオンプレミス側のデータ更新を停止し契約データをエクスポート、OCIへ移行後に新システムへ切り替え、実業務を開始した。
移行後、マルチクラウド環境は安定稼働を継続。OCI上ではRACによる冗長化とData Guardによる災害対策を実装し、堅牢なDB基盤を確立した。老朽化した物理サーバから最新のIaaS基盤への移行に加え、Oracle Databaseを11gからPaaS上の19cへバージョンアップしたことで性能も向上し、保険料計算など夜間バッチは平均2時間から1時間7分へ短縮した。TISがAzureとOCI双方に精通し既存基盤を熟知している点が評価され、設計・構築から運用・保守までの統合支援が実現した。ニッセイ・ウェルス生命は、5年スパンでのコスト抑制や老朽化リスクの回避をメリットとしている。
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