TIS、生成AI前提の「AI中心開発」全社推進開始 2029年度に生産性50%向上目標
TISインテックグループのTISは10月31日、生成AIの活用を前提とした「AI中心開発」を掲げ、全社推進プロジェクトを発足したと発表した。要件定義からテストまでの全工程に生成AIを組み込み、開発基盤を再構築することで、2029年度までにシステム開発の生産性を50%向上させることを目指す。対象は新プロセス適用可能なプロジェクトで、TIS単体の2024年度比としている。
背景には、DXやクラウド化の進展に伴うソフトウェア投資の増加と、スクラッチ開発市場の拡大がある。TISはこれまで、グループ各社の領域に応じた検証や活用を進め、オフショア開発を含む現場で自動生成や品質担保機能を導入。一部サービスで実運用し、大規模開発でも生産性向上効果を確認してきた。一方でAIエージェントなど技術進化のスピードを踏まえ、既存プロセスへの部分的導入ではなく、AI活用を前提にした手法とプロセスの再設計が不可欠と判断した。
全社推進の柱は3点だ。第一に、開発プロセスの刷新として、同社の開発基盤にAIエージェントを中心とする機能群を導入し、進捗・品質管理を含むプロジェクトマネジメントまで再設計する。第二に、人・組織・文化の変革では、生成AIを使いこなす人材育成と利用の習慣化、技術導入支援を通じて多能工化を進め、人が責任を担いつつAIと協働する体制を整える。第三に、リスク管理では、情報セキュリティ、知的財産、倫理に加え国内外の規制動向を踏まえ、規程や契約を整備し、リスクマネジメント体制を構築する。
今後は、技術部門と人材・品質・プロモーション・リスク管理などの本社部門が連携する全社体制で推進する。2025年10月以降に社内パイロット適用を順次開始し、複数プロジェクトでの試行を経て、2026年度末までにAI中心開発に対応した開発基盤とプロセスの確立を目指す。さらに、2027年度開始の次期中期経営計画の中で、グループ全体への展開計画を策定し、取り組みを広げていく。同社は、開発のみならずバックオフィス業務への生成AI適用も視野に、IT人材の価値最大化と顧客・社会の変革支援につなげる方針だ。
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