Wiseが全銀システムにAPI接続 資金移動業で初の日本銀行当座取引
Wiseは、全銀システムへのAPI接続を完了し、日本銀行との当座預金取引を開始した。資金移動業者として初の事例であり、仲介銀行を介さずに日本の決済システムで独自に取引を決済できるようになった。これにより、国内の円建て送金をほぼ即時に処理可能となる。
今回の接続では、統合ATMスイッチングサービスを介した受取人名義の確認にも対応する。受取人口座の名義情報が銀行記録と一致しているかを確認でき、カタカナのわずかな不一致が遅延につながるという課題の解消を狙う。
Wiseは各国の決済システムへの接続を中核インフラと位置付け、英国のFaster Payments System、欧州のSEPA、ハンガリーの国内決済、シンガポールのFAST、オーストラリアのNPP、フィリピンのPesonetとInstapay、ブラジルのPix、そして日本の全銀システムの計8つに接続している。その結果、Wiseで行われる全送金の74%が20秒以内に到着しており、5年前の33%から大きく改善したという。
同社は、全国銀行資金決済ネットワークおよび日本銀行と連携し、清算参加者に求められる基準を満たす技術インフラを整備してきた。日本が資金移動業者の参加資格を広げたことは、G20が推進するクロスボーダー決済改善の実行につながると位置付ける。Wiseの2025年G20レポートでは、ノンバンクの内国決済システムへの直接接続で満点を獲得するG20加盟国は8か国とされ、日本はこのグループへの加入を前進させたとする。
チーフバンキング・エクスパンションオフィサーのDiana Avila氏は、直接接続が競争とサービス品質・信頼性の向上につながるとコメント。ワイズ・ペイメンツ・ジャパンの勢井美香氏は、API接続と日銀当座取引の開始が日本の金融エコシステムの新章になると述べ、名義確認機能と併せて送金の簡便性と信頼性を高めるとした。
同社は運用の安定性とサービス品質を確保しつつ、取引量を段階的に増やして全面導入を進める方針だ。Wiseは2011年にサービスを開始し、現在の利用者は1,560万人を超える。2025年度の取引額は約1,850億ドル(約28兆5,700億円)、顧客の節約額は約26億ドル(約4,015億円)としている。
添付画像一覧




