MS&ADと日立、保険基幹開発に生成AI本格適用 検証で25%向上し実業務開始
MS&ADシステムズと日立は12月17日、保険分野のミッションクリティカルなシステム開発に生成AIを本格適用する取り組みを開始したと発表した。MS&ADインシュアランスグループのIT戦略を担うMS&ADシステムズは、日立のシステム開発ナレッジと生成AIを組み合わせた開発フレームワーク「Hitachi GenAI System Development Framework」を導入し、効果検証で得た結果を踏まえ、2025年12月から実業務での利用を開始している。
同フレームワークはコード生成など開発プロセス全般をアシストする5つの機能で構成される。中でもプロンプト生成により、大量で複雑な前提条件や業務要件の入力負荷を軽減し、技術者の経験や生成AI利用の熟練度に依存しない高品質なアウトプットを実現する。日立社内の検証では、生成AIが生成したアプリケーションのソースコードのうち70~90%で適切にコード生成できたことを確認している。
背景には、専門人材不足への対策としての業務効率化や属人化解消のための標準化の要請、さらにIT構造改革やデジタル接点強化を通じたサービス革新の必要性がある。一方、大規模な金融機関の基幹システムでは、プロンプト作成の負荷や回答品質のばらつきが課題となっていた。
MS&ADシステムズと日立は2025年1月から4月にかけて同フレームワークを導入。5月から9月には、自動車保険の既存システムにおける機能追加開発を対象に、従来型手法との比較による効果検証を実施した。製造・単体テスト工程では従来と近い精度のアウトプットが得られ、品質の観点と工数削減効果から実業務への適用に十分通用すると評価。約25%の生産性向上も確認したことを受け、同工程を起点に運用を開始した。
今後は、本フレームワークの活用範囲を拡大し、要件定義や外部設計を含む全工程への適用をめざす。開発プロセスの一層の効率化と品質向上により、商品・サービスを迅速かつ柔軟に提供できる環境の実現を図る。日立はミッションクリティカルなシステム開発の知見に生成AI適用を重ね、システムインテグレーションの変革を推進するとしている。
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