
MUFG、「エムット」など新リテール戦略発表 デジタルシフトや提携を強化
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は2025年5月27日、新たなリテール戦略構想を発表した。金利環境の変化や資産運用意識の高まり、デジタル化の進展が顕著になるなか、MUFGは「世界が進むチカラになる。」を掲げ、分かりやすさと生涯の金融パートナーを目指してサービスを強化していく。
新戦略の柱としてグループ共通サービスブランド「エムット」を始動させ、「やさしい金融サービス」として日常を支える総合的な商品・サービスを拡充する。「お金のあれこれ、まるっと。」をスローガンに、誰もが明るく前向きにお金と向き合える環境づくりを進め、2026年度末までにさらなる展開を計画する。
エムットの具体策として、三菱UFJ銀行アプリは「資産総合管理アプリ」へ刷新し、各種金融サービスの一括管理を実現。また新たなポイントアッププログラムを導入し、日常の買い物や食事で無理なくポイントが貯まるサービスの提供も始める。これにより「つながるMUFG」としてグループのネットワーク・機能を横断的に強化し、顧客接点を拡大する。
大きな方針転換として、2026年度後半にデジタルバンクの設立を目指す計画も明かされた。単なるネット専業銀行とは異なり、三菱UFJ銀行の店舗網や対面アドバイス機能も組み合わせた「デジタルとリアルの融合型」として新たな顧客体験を創出する。基盤にはGoogle Cloud技術を採用し、手数料や金利面でも魅力を打ち出す。
さらにこのデジタルバンクの中核機能として、ウェルスナビと共同開発中の「MAP(Money Advisory Platform)」を搭載予定。MUFGグループ約6000万顧客の膨大なデータやAI技術を活用し、一人ひとりに最適な金融提案を提供する革新的なアドバイザリーを実現する。加えて個人資産管理サービス大手のマネーツリー株式取得への基本合意も公表され、データ連携やAI活用などでグループ総合力の底上げを図る。
証券分野でも、eスマート証券およびウェルスナビの完全子会社化で「貯蓄から投資」の流れに対応。UFJ口座との連携やクレジット積立、ポイント還元強化およびセキュリティ向上策が進む。
MUFGは約3,400万口座・93兆円の個人預金、420店舗のネットワークなど圧倒的な顧客基盤が強み。今後も銀行、信託、証券、カード、資産運用といったグループ機能を再編・拡張し、生涯を通じて顧客の金融ニーズに応えられる体制を整備していく方針だ。
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