
JAバンク6000店舗で新営業店システム稼働、事務効率と顧客利便性を両立
JAバンクが進めてきた新営業店システムが、2025年5月に全国約6000店舗で本格稼働した。基盤となるのはBIPROGYの次世代営業店システム「BANK_FIT-NE」と営業店業務支援システム「SmileBranch」で、窓口端末約2万台を一斉に刷新した大規模プロジェクトだ。
背景には、組合員・利用者の取引形態がリアル窓口中心から時間や場所を選ばないデジタルチャネルへと広がり、多様なニーズに同時対応する必要性が高まった事情がある。JAバンクは農林中央金庫、農中情報システムと連携し、リアルとデジタルを融合した顧客接点の再構築を目指してきた。
新システムの特徴は三つ。第一に、オープン出納機をオンライン化し、本支店や時間帯を跨いだ現金管理をリアルタイム化した点だ。現金誤差の要因解析や残高照合を端末側で自動実施することで、出納業務の厳正化と省力化を同時に達成した。
第二に、生体認証を用いた職員認証の導入である。従来のオペレーターカードを廃止し、指静脈などの生体情報で確実に本人確認を行う仕組みへ移行した結果、なりすまし防止とカード管理コストの削減を実現した。
第三に、窓口職員用タブレットの活用範囲を拡大した。来店客が手書きする伝票を不要とし、タブレット上で取引内容を確認・入力できるため、顧客は待ち時間を短縮できる。一方、職員は端末への再入力や役席者による書面検証が不要となり、入力負荷を低減した。
マルチベンダー構成にも注目が集まる。窓口端末4ベンダー2機種、現金処理機2ベンダー7機種、オープン出納機3ベンダーの製品群から店舗ごとに最適な組み合わせを選択し、短期間での全国展開を可能にした。
これらの機能により店舗事務の所要時間が削減されたことで、職員は資産形成や融資相談など提案業務に時間を割けるようになった。BIPROGYは今後も農林中央金庫および農中情報システムと連携し、段階的な機能拡充を計画するとともに、他金融機関への水平展開で営業店ソリューションの価値を高める方針だ。
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