
地震保険122件で保険金過少支払い 損保協会システム不備が原因
ポイント
損害保険各社が使用する地震保険損害調査システムに計算不備が見つかり、木造建物122件で総額3億8,910万8千円の保険金を過少に支払っていたことが判明した。協会と利用6社は全件を特定し、121件で追加支払いを完了。プログラムは改修済みで、再発防止策を講じた。 日本損害保険協会は24日、地震保険の支払額を自動算定する業界共同の損害調査システムに不備があり、木造建物を対象とした過去の保険金122件で過少支払いが発生していたと発表した。総不足額は3億8,910万8千円で、過払いは確認されていない。
問題のシステムは、調査員が入力した建物や家財の損傷情報をもとに保険金を自動計算するもので、ペーパレス化と迅速化を目的に2016年から各社が任意で使用してきた。熊本地震、大阪北部地震、北海道胆振東部地震、福島県沖地震、能登半島地震など主要地震での支払件数は計115万7,077件、支払保険金は1兆2,005億円に上る。
不備は保険会社の現場調査で発覚した。協会はプログラムを総点検し、計算ロジックの誤りを特定。あいおいニッセイ同和損害保険、AIG損害保険、共栄火災海上保険、損害保険ジャパン、東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険の6社が過去データを全件洗い出した結果、122件で支払不足が見つかった。
追加支払いは122件中121件で完了しており、残る1件は損害保険ジャパンが契約者と連絡が取れず対応を継続している。協会はプログラム改修と運用手順の見直しを終え、「同様の事象による誤支払いは再発しない」と説明。利用各社にもシステム管理体制の強化と二重チェックを求めた。
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