
損保ジャパン、生成AI「おしそんLLM」で営業店の照会対応を効率化
ポイント
損保ジャパンは7月1日、生成AIの大規模言語モデルを搭載した照会回答支援システム「おしそんLLM」を全国の営業店で運用開始した。2017年から稼働する「教えて!SOMPO」の回答業務負荷を軽減し、社員の生産性向上と顧客サービスの強化を狙う。2024年度のトライアルでは対象照会で約4割の時間削減を確認しており、今後は学習データ拡充や機能改善で精度を高める方針だ。 損保ジャパンは7月1日、生成AIの大規模言語モデル(LLM)を搭載した照会回答支援システム「おしそんLLM」を全国の営業店と本社で本格運用すると発表した。同社は2017年、散在するマニュアルやQ&Aを自然文で横断検索できる社内ナレッジ検索システム「教えて!SOMPO」を導入し、課題解決力を高めてきた。しかし、本社への照会件数は年間67万件に上り、回答業務そのものが新たな負荷となっていた。
課題解決へ向け同社は2023年から「おしそんLLM」を内製で開発し、2024年度に一部営業店と本社でトライアルを実施した。トライアルでは全照会の約6割に対しAIが回答案を生成でき、その範囲で約4割の業務時間削減を確認。効果が明確となったことで、2025年6月に全国展開を決定し、7月から営業店全体での利用を開始した。
新システムは同社が保有する膨大なマニュアルやQ&Aデータを学習し、照会内容に応じた最適な回答案と参照資料を画面に表示する。回答者は提示された根拠を確認しながら回答を作成できるため、ハルシネーションリスクを抑制しつつ作業時間を短縮できる点が特徴だ。開発を担う内製チームは利用ログや現場の要望を迅速に反映し、リリース前から改良を重ねてきた。
同社は今後、運用で蓄積される照会データをAIに継続学習させ、回答精度を高める方針だ。併せて対象範囲を広げ、保険種目や参照資料の追加、メンテナンス業務の自動化など機能拡充も進める。創出した時間は顧客や代理店への商品・サービス提供に充当し、社員の生産性向上と顧客体験の向上を両立させる考えである。
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