
三井住友信託と三井物産DAM、受益証券発行信託に特化した「オルタナ信託」を共同設立
三井住友信託銀行と三井物産デジタル・アセットマネジメント(MDM)は7月3日、デジタル証券の受益証券発行信託に特化した新会社「オルタナ信託」を共同で設立したと発表した。資本金は6.65億円で出資比率はMDM85.1%、三井住友信託銀行14.9%。代表取締役社長には池田匠作氏が就任した。
オルタナ信託は、MDMが金融領域で培ったAIなどのデジタル技術と、三井住友信託銀行の高度な信託受託ノウハウを融合し、デジタル証券化プロセスを柔軟かつ迅速に行う体制を構築する。受託者として資産運用会社や証券会社と連携し、ハブ機能を担いながら不動産など実物資産を裏付けとしたセキュリティトークン(ST)の組成を推進する計画だ。
MDMは2020年の創業以来、「預金でもない、株でもない、新しい投資の選択肢」を掲げ、オルタナティブアセットの取得・運用からST販売までを一気通貫で手掛けてきた。個人向け資産運用プラットフォーム「ALTERNA」ではAIを活用した運用効率化や契約書作成の自動化を進め、2021年12月の初号ファンド以降、外部証券会社経由5本、自社サービス12本の計17本を提供。総運用残高は2000億円を超えている。
今回の新会社を通じ、オルタナティブアセットを保有する企業は個人投資家から機動的に資金調達できるようになる。さらに、オルタナ信託の信託機能とMDMの証券・運用機能を組み合わせたワンストップサービスを提供し、運用業務の負荷軽減も図る。
設立と同時に、MDMと三井住友信託銀行はデジタル証券市場の活性化を目的とする業務提携契約を締結した。共同経営・人材連携に加え、ALTERNAを活用した商品組成、債権アセットの紹介、ファイナンス提供などで協力し、「資産運用立国」の実現に貢献するとしている。
オルタナ信託は複数のプロジェクトを準備中で、初年度に1000億円規模のデジタル証券組成を目指す。5年後には累計1兆円の受託残高を掲げ、当面は不動産を中心に展開しつつ、将来的には社債や三井住友信託銀行が保有する債権など多様なアセットクラスへの拡大を視野に入れる。また、MDM以外の資産運用会社からの信託受託も検討し、国内デジタル証券市場の裾野を広げる考えだ。
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