
金融データ活用推進協会、生成AIガイドライン1.1版と支援チャットボットを同時公開
金融データ活用推進協会(FDUA)は7月14日、生成AIワーキンググループ(生成AIWG)が策定した「金融生成AIガイドライン」の最新版となる第1.1版を公開した。初版は2024年8月に公開され、同年12月に書籍化されているが、会員企業や省庁から寄せられた技術進展や規制の変化への対応要望を踏まえ、早期に改訂を行った。
改訂版は、AIエージェントなど急速に実装が進む技術を取り込み、「攻め(イノベーション)」と「守り(ガバナンス)」の2軸で章立てを再構成した点が特徴だ。具体的には、生成AI活用時に想定される法的・倫理的リスクの整理を深めるとともに、サイバーセキュリティやモデル破綻時の対応プロセスも追加。ユースケースは従来の8事例から23事例へと大幅に拡充し、融資審査、市場分析、顧客対応など多様な業務での適用例を示した。
あわせてFDUAは、ガイドラインの要点を生成AIが即時に解説するチャットボット「FDUA生成AI活用アシスタント」の提供を開始した。開発を担ったIppu Senkinは、RAG(検索拡張生成)技術によりガイドライン全文を参照情報として組み込み、ユーザーが入力した質問に対し関連項目を抽出、簡潔に回答する仕組みを構築。生成AI特有のリスク、関連法規、事例などを短時間で確認できるため、実務担当者の調査負担を軽減するとしている。
生成AIは事務処理やデータ管理が膨大な金融機関において、顧客サービス向上と業務効率化の両面で高い期待が寄せられる一方、著作権侵害や機密情報漏えいなど新たなリスクも内包する。FDUAは「継続的な改訂を通じ、鮮度の高い情報を提供し続ける」とし、今後も技術変化や規制動向を注視しながらガイドラインとチャットボットの更新を重ねる考えである。
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