
データで融資を革新 01銀行が開業、SaaS連携で中小事業者支援強化へ
01銀行は2025年2月28日に銀行免許を取得し、7月28日にサービス提供を開始した。開業に合わせて公表した事業方針では、SaaS事業者(プラットフォーマー、以下PFer)が保有する利用データを融資審査に活用する「データドリブン型デジタルバンク」を掲げる。
中小事業者が直面する「人手不足」「生産性向上」「受注拡大」の三つの課題に対し、SaaSは業務効率化や販売チャネル拡大で既に重要な役割を担っている。01銀行はその利用履歴を信用判断のエビデンスとみなし、決算書中心だった従来型与信を刷新する考えだ。
開業時は法人向けに、口座入出金データとPFerデータを組み合わせた独自モデルで審査を行い、決算書提出を不要とした。申し込みから借入までオンラインで完結し、最短当日の資金提供が可能になる。これにより「忙しくて銀行に行けない」「審査に時間が掛かる」といった不満を解消し、急な運転資金や設備投資需要に即応する。
提携PFerは開業時点で20社、総利用先は約250万事業者。今後は連携を深められるPFerを増やし、3年で30社・利用先約360万へ拡大する計画だ。PFerとのデータ連携を通じて蓄積した情報をAIで分析し、特許取得済みの手法を用いて精度の高い独自審査モデルを確立する。貸出残高は3年目に約1600億円まで積み上げ、黒字化を目指す。
サービス対象も順次拡大する。PFerの利用者にはクラウドワークスやダンドリワークを利用する個人事業主が多く含まれるため、01銀行は彼らの資金ニーズにも対応する方針を示した。決算書を持たない個人でも、業務実績データによって事業性を証明できる仕組みを整えることで、従来取り残されがちだった層の金融アクセス向上を図る。
01銀行は「ビジネスがデータをベースに回り始めている中、金融もその波に乗るべきだ」として、PFerと銀行、そして利用企業が共創するエコシステムを構築し、中小事業者の持続的成長を後押しするとしている。
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