
みずほ銀行、UPSIDER株70%を約460億円で取得し連結子会社化へ
みずほ銀行は7月29日、UPSIDERホールディングスの株主と株式譲渡契約を締結したと発表した。みずほ銀行は国内外ベンチャーキャピタルなどからUPSIDER株式約70%を約460億円で取得し、UPSIDERを連結子会社とする。取引は関係当局の承認取得を前提に25年9月頃の完了を見込む。
背景には、日本経済がデフレ脱却やDX投資の増加で好循環が生まれつつある一方、中堅・中小企業の人手不足や物価上昇への対応など課題が山積している状況がある。みずほはパーパス「ともに挑む。ともに実る。」を掲げ、企業の競争力強化支援に注力してきた。対するUPSIDERは「挑戦者を支える世界的な金融プラットフォームを創る」を掲げ、AI与信モデルを用いた法人カード「UPSIDER」や請求書カード払い「支払い.com」などで累計8万社超を支援している。
両社は23年11月にスタートアップ向けデットファンド「UPSIDER BLUE DREAM Fund」を共同運営し、25年5月末までに累計130億円超を貸し付けた実績を持つ。今回の子会社化で得られるシナジーとして、①UPSIDERのプロダクトとみずほの金融ソリューションを組み合わせた一体的サービス提供、②AI技術と銀行の審査ノウハウを融合した新与信モデルの構築、③多様なパートナーと連携するオープンなエコシステム創造の三点を挙げている。
経営面では、UPSIDER創業株主が引き続き株式を保有し、将来の上場を視野にスピード感ある事業運営を続ける。みずほはグループのネットワークと資本力を投入し、UPSIDERの技術・顧客基盤を活用することで、日本企業の資金調達環境と業務効率の改善を加速させる狙いだ。
みずほFGの木原正裕社長は「両社が一体となり、新たな価値をスピード感をもって提供する」とコメント。UPSIDERの宮城徹代表取締役は「金融を再定義しながら未来を共創する」と述べた。大型提携によって銀行とフィンテックが融合し、スタートアップや中小企業の成長支援がどこまで深化するかが注目される。
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