
弥生、過半数株取得でアラームボックスを子会社化 与信DXシナジー狙う
弥生は7月31日、AI与信管理クラウド「アラームボックス」を提供するアラームボックスの発行済株式の過半数を取得し、同社をグループ会社化したと発表した。取得額や出資比率は非開示だが、弥生は今回の子会社化によりFinTechサービスの与信機能を強化し、中小企業向けソリューションの幅を広げる方針だ。
アラームボックスは2016年創業。「すべての企業取引に安心を」を掲げ、AIを活用した与信判断、モニタリング、売掛保証を一括で提供するクラウドサービスを展開してきた。インターネット上の情報を定性評価に落とし込み、自社データベースと掛け合わせることで、中小企業でも導入しやすい低価格・高精度の与信管理を実現している。
一方、弥生は業務ソフトウェア「弥生シリーズ」が累計ユーザー数350万を超え、会計データを基盤にスモールビジネス向けFinTechサービスを拡大してきた。会計データを用いた与信モデルを銀行へLaaS形式で提供するなど成果を挙げているものの、財務データを公開しない企業やリアルタイム性の不足といった課題が残されていた。
今回の資本提携により、弥生が持つ膨大な定量データの分析力と、アラームボックスが保有する中小企業の定性情報を統合し、高精度なAI与信モデルの構築を目指す。具体的には、スモールビジネス向け与信サービスのOEM開発や新規プロダクトの共同開発を計画。さらに弥生がユーザーへ提供する請求・資金繰り支援サービスに与信機能を組み込み、利用可能額の拡大や売掛保証の提供範囲拡大を検討する。
取引先の倒産や支払い遅延は資金体力の小さい事業者に大きな影響を及ぼす。両社は与信管理DXを通じてそうしたリスクを低減し、安心して経営に集中できる環境を整備することで、中小企業の挑戦と日本経済全体の活力向上に寄与するとしている。なお、アラームボックスの既存サービスは、グループ化後も変更なく利用可能だ。
添付画像一覧







