
Finatextとナウキャスト、メディケア生命で生成AI活用の給付金査定実証を開始
Finatextとナウキャストは9月8日、メディケア生命において、生成AIを活用した給付金支払査定業務の実証実験を開始したと発表した。本実証では、約款や業務マニュアルに基づく支払可否の判定補助と根拠提示をAIで行い、査定業務の品質向上と効率化、給付金支払いまでの期間短縮の可能性を検証する。
背景には、保険商品の多様化・高度化に伴う支払条件や査定判断の複雑化がある。メディケア生命では2010年の営業開始以降、保有契約の増加とともに給付金請求件数が増え、担当者の経験や知識に過度に依存しない体制の構築が課題となっていた。
検証内容は、最新AIモデルGPT-5を含む複数モデルを用いた3点だ。約款等を学習したAIによる支払可否判断と根拠提示機能の検証、実際の査定プロセスにおける実用性評価、そして業務効率化・判断品質向上への貢献度の測定である。
各社の役割は、Finatextとナウキャストが約款と査定業務の分析、業務フロー整理やプロンプト作成、検証環境の構築とケース検証、結果評価と実務導入に向けたロードマップ策定支援を担う。メディケア生命は支払査定実務の情報提供や業務フローへのフィードバック、サンプルケース作成、検証結果を踏まえた導入ロードマップ策定を担当する。
FinatextはSaaS型デジタル保険システム「Inspire」を展開し、2025年8月末時点で15社に導入されている。2025年3月には保険金の査定文書を生成AIで自動生成する「Inspire 査定支援LLM」を開発し、グループ内の保険事業で活用中だ。ナウキャストも法人保険営業向けの生成AIソリューションや保険代理店向け生成AI環境「AI-MO」を構築するなど、保険事業者のDX支援を進めている。
3社は本実証の成果を踏まえ、生成AIの給付金査定業務への実務導入を検討するとしている。
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