
TIS、金融向け生成AI仕様書作成を開始 保守不安を軽減
TISは2025年9月17日、金融業界で稼働する基幹系システムのモダナイゼーション実施後に、生成AIで仕様書を自動生成する「生成AI仕様書作成オプション」を提供開始した。「金融×モダナイゼーション」のラインアップの一つとして展開し、保守や追加開発時の不安を軽減する狙いだ。
背景には、COBOLやPL/I、アセンブラなどで構築された大規模システムの長期稼働とドキュメント不足がある。制度改正に伴う改修や人材の異動・退職により、正確な仕様把握が難しく、DX推進の障害となっていた。TISはこれまで「Xenlon〜神龍 モダナイゼーションサービス」により、現行仕様書がない、または実態と乖離した資産でも移行を支援してきたが、移行後の保守運用段階での仕様整備ニーズが根強かった。
新オプションは、Javaプログラムを解析し、製造工程や単体テストで重要な6項目の情報を出力する。成果物はテキストに加え、フローチャートや表形式で提示し、処理の流れや構造を直感的に把握できる設計とした。これにより、仕様書が存在しない場合でも可視化が可能になり、プログラム理解と保守対応の確実性が向上する。文体や表現形式の統一により、関係者間での認識共有を促進し、属人化抑止やレビュー漏れの抑制にもつなげる。
セキュリティ面ではエンタープライズ利用を想定し、LLMに機密情報が保管・学習されないサービスを提供する。社内検証では、人手による作業と比べ最大約60%の工数削減効果を確認したという。提供価格は個別見積もりで、当面は「Xenlon〜神龍 モダナイゼーションサービス」利用企業が対象となる。
当初は同サービスでリライトされたJavaプログラムに適用し、2026年度内の実用化を目標に対象言語や既存資産への適用拡大、ツールの汎用化に向けた技術検証を継続する。将来的には、外部接続仕様書や画面遷移図、要件整理資料など開発初期フェーズの設計文書への応用や、柔軟な出力レイアウト機能、ドキュメント管理基盤との連携も視野に入れ、業界・業種の拡大を図るとしている。
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