
金融庁が「Delta Wall 2025」を実施予定、過去最多177先参加で対応力底上げ
ポイント
金融庁は2025年10月14日、金融業界横断的なサイバーセキュリティ演習「Delta Wall 2025」を実施すると公表した。未実施の中小金融機関の参加を促し、過去最多の177先が参加する。境界型防御の限界を踏まえた内部対策やゼロトラストの意識向上、テレワーク環境下での対応力強化を目的とし、結果は業界全体にフィードバックされる。 金融庁は2025年10月14日、10回目となる金融業界横断的なサイバーセキュリティ演習「Delta Wall 2025」を公表した。インシデント対応能力の底上げを目的に、演習未実施の中小金融機関の参加を促した結果、過去最多の177先が参加する予定だ。
演習シナリオは、境界型防御の限界を踏まえた内部対策やゼロトラストの意識向上を目的の一つとして設計されている。昨年度に引き続き、テレワーク環境下での対応も含めた能力向上を図るため、参加金融機関は自職場やテレワーク環境から演習に参加できる。
想定シナリオは分野ごとに用意され、銀行、信金・信組・労金についてはブラインド方式のため非開示とされた。証券ではサイバー攻撃による顧客情報漏えい、資金移動業者・前払式支払手段発行者では顧客資産の流出、暗号資産交換業者では暗号資産の流出を想定。インシデント発生時の初動対応、攻撃内容の調査・分析、顧客対応、復旧対応など、業務継続の確保までを確認する構成である。
事後評価にも力点を置き、参加機関がPDCAサイクルを回して対応能力を継続的に高められるよう、具体的な改善策や優良事例を提示する。演習の結果は参加機関以外にも業界全体にフィードバックされる予定だ。
世界各国で大規模なサイバー攻撃が発生し、日本でも業務妨害、情報窃取、金銭被害が起きている。こうした脅威は金融システムの安定に影響を及ぼしかねない大きなリスクであり、金融業界全体のインシデント対応能力の更なる向上が不可欠である。
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