富士通とPwC Japan、ソブリンクラウドの経済安保対応で協業開始
富士通とPwC Japanは2025年10月29日、富士通のソブリンクラウド「Fujitsu クラウドサービス powered by Oracle Alloy」における経済安全保障推進法の制度対応支援で協業を開始した。両社は法規対応を明確化するリファレンスガイドを作成し、2025年12月に一般公開する。特定社会基盤事業者に義務付けられるリスク管理措置の策定・実施に役立つ実践的な枠組みを提示し、制度対応の負荷軽減とクラウド活用の両立を後押しする狙いだ。
背景として、同制度の施行により、電力・ガス・水道・運輸・通信・金融などの重要インフラ分野では、特定重要設備の導入や重要維持管理等の委託時に事前届出とリスク管理措置の実装が求められている。一方で、クラウド特有の責任分界点の把握やサプライチェーン統制の確認は高度な専門知識を要し、利用者の負担が大きい。PaaSやコンテナ基盤のように多層化する構成では、ハードウェアからソフトウェア、開発・運用のセキュリティポリシーまで広範な確認が必要となり、サプライチェーンの可視化にも時間を要する。
公開予定のリファレンスガイドは、制度に対する富士通のソブリンクラウドの対応状況を体系化し、構成設備としての27項目、重要維持管理等の委託先としての14項目の要求事項を網羅する。具体的には、(1)クラウド利用者と事業者の責任分界点、(2)要求事項への対策と確認可能な管理状況の根拠、(3)利用者が実施すべき対応指針、(4)関連サービス・機能の参照情報を整理して示す。富士通が国内体制と運用ガバナンスで確立した信頼性や制度適合性を可視化し、セキュリティ受入検査や統制情報と利用者の実務対応を結び付ける枠組みを提供する。
今後、両社は特定社会基盤事業者ごとのリスク特性や業務要件に応じたリスク管理措置の設計・記載に関する伴走支援を進める。また、セキュリティ・クリアランス制度への対応、富士通のソブリンクラウド上のアプリケーションに対するCSPM/CNAPP適用支援、データ主権と信頼性を備えるソブリンAIの活用推進など、協業領域の拡大も視野に入れている。
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