富士通、偽・誤情報とAIリスクに対応する国際組織「Frontria」創立
富士通は2025年12月2日、偽・誤情報や新たなAIリスクに対応する国際コンソーシアム「Frontria」を創立したと発表した。世界中から50以上の組織が参画し、最先端の技術や知見を結集して、信頼と安全を兼ね備えたデジタル社会の実現を目指すとしている。
背景には、生成AIの急速な進化に伴う偽・誤情報の悪用拡散やAIシステムの脆弱性の顕在化、さらにEU AI Actへの準拠など喫緊の課題がある。偽・誤情報による経済損失が2023年に12.2兆円に達したとの調査も示され、個社や一国では対応が困難な複雑性が指摘される。
Frontriaは、偽・誤情報対策、AIトラスト、AIセキュリティの3領域に焦点を当てる。参画者は、業界課題とニーズを提示するイノベーションパートナー、技術IP(コア技術)プロバイダ、データプロバイダ、アプリケーション導入を担うエンジニアリングパートナー、資金や運営環境を提供するインキュベータなどの役割で構成し、技術プールを軸にしたグローバルコミュニティを形成する。
創立時には3つのコミュニティグループを設置し、偽・誤情報対策では金融、保険、メディア、エンターテインメント、リーガル、AI事業などの業界別WGを編成。各WGでユースケースを検討し、コア技術やアプリケーション、データの適用結果を関係者にフィードバックして技術・サービスの質を高める。全WG横断の開発者コミュニティも設け、ノウハウ共有や技術コンペでコア技術の開発を加速する。
富士通は、金銭要求や本人詐称に対応するフェイク検知、差別的判断の抑制に資するAIの公平性などのコア技術をトライアル提供する。参画組織の連携により、技術の磨き込みからユースケース創出、アプリケーション開発、市場展開までを推進し、収益化の機会を生むとしている。
今後は、2025年度に日本、欧州、北米、インド、オーストラリアの参画組織と活動を開始し、各業界の新たなユースケース創出を図る。2026年度中に参加組織を100以上へ拡大し、コンソーシアム発のIPビジネス事例を複数創出する計画だ。
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