国内初のトークン化預金でST決済実証、実発行検証へ6社協業開始
SBI証券、大和証券、SBI新生銀行、BOOSTRY、大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)、ディーカレットDCPの6社は、トークン化預金DCJPYを活用したセキュリティトークン(ST)のDVP決済実証で協業を開始した。国内初のトークン化預金によるST決済の実発行検証に踏み出すもので、8月には検証用データでDVPの動作確認を行い、システムイメージと業務フローの整理を概ね完了している。今後はSTとDCJPYの実発行での検証に取り組む計画だ。
背景には、2020年の国内初のデジタル債発行以降、ST市場が拡大し、公募発行総額が11月末時点で2,700億円規模に達した一方、STの受渡しはブロックチェーンで即時に行われるのに対し、資金決済は銀行振込に依存している点がある。証券業界では決済リスク管理の強化と事務負担の軽減が課題とされ、デジタル通貨を用いたDVP方式の標準化と早期実用化が期待されている。
本プロジェクトでは、BOOSTRYが開発・運営するブロックチェーン「ibet for Fin」で発行・管理されるSTと、ディーカレットDCPのプラットフォームを通じてSBI新生銀行が発行・償却するDCJPYを用い、SBI証券と大和証券間の売買取引で新たな決済スキームを実証する。具体的には、STの仮移転、決済情報の連携、買方によるDCJPY発行依頼と移転指図、ディーカレットDCPによる照合を経て、DCJPY移転と同時にST本移転をシステム連携で実行し、その後DCJPYを償却する流れだ。証券の引渡しと代金支払いを相互条件とするDVPにより、決済リスクと事務負担の低減を狙う。
DCJPYは銀行預金をトークン化したトークン化預金で、一般的な預金の性質を有しつつ、分散型台帳技術により決済へプログラマビリティを付与できることが特徴だ。証券事務の効率化や決済リスクの削減が見込まれ、ST決済の有力な選択肢として位置づけられている。
今回の取り組みは、将来的なSTの即時グロス決済を見据えた最初のステップだ。実証後は、ODXが運営するST二次流通市場「START」の参加証券会社や各種STプラットフォーム間で利用可能とする実用化に向けた検討を進め、共通の決済基盤の一つとして市場効率の向上と決済リスク低減を目指すとしている。
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