
Stripe、AIとステーブルコイン活用で決済サービスを強化 - Sessions 2025発表
グローバルで金融インフラプラットフォームを提供するStripeは、5月6日より米サンフランシスコで開催した自社イベント「Stripe Sessions 2025」において、AIやステーブルコインなど先端技術を活用する新プロダクトおよび機能拡張を発表した。
最大の目玉は、世界初となる決済特化型AI基盤モデル「Payments Foundation Model」の導入だ。Stripeは従来より不正対策や決済承認率向上、購入体験の最適化にAIを活用してきたが、今回の新モデルは数百億件の取引データに基づき、これまで検知できなかった数百の微細なシグナルまで捕捉する。既存のAIで80%削減していたカードテスト攻撃(不正利用判定)を、新モデル適用で一夜にして更に64%向上させるなど、効果を上げている。
また、ステーブルコインを活用した新資金管理機能「Stablecoin Financial Accounts」も注目を集める。買収したステーブルコインプラットフォームBridgeのノウハウを生かし、101カ国でステーブルコインや法定通貨の資金保持・国際送金を可能にした。これにより、通貨不安定国の新規事業者もインフレリスクを抑えつつ、国際経済に参入しやすくなった。ドル建てステーブルコインUSDCやBridgeのUSDBに対応し、今後も対象を増やしていく方針だ。また、BridgeとVisaが先行してステーブルコイン資金を法定通貨と同様に利用できるグローバルカード発行も開始。ユーザー企業は簡単にステーブルコインでの支払いやカード発行が可能となる。
加えて、同社は既存アカウントで複数の通貨(米ドル、ユーロ、ポンドなど)の保持・管理が行える新機能も発表。例えば米国と英国両方で事業展開する企業は、それぞれの通貨で資金を保持し、為替手数料コストの抑制や現地従業員・サプライヤーへの支払を現地通貨で直接行えるようになった。
大手パートナーシップも拡充。NVIDIAはクラウドゲーミング「GeForce NOW」のサブスクリプション管理に史上最短でStripe Billingを導入。ペプシコもレストランや小規模事業者向け決済でStripeを採用し、紙の小切手支払いからオンライン注文対応へ移行するなど、さまざまな業種でデジタル決済基盤としてのストライプが広がっている。複数決済プロバイダーを用いる大企業向けには、ダッシュボード上で統合管理・最適化できるオーケストレーション機能も提供開始した。
今回の発表では、25の新決済手段への対応や不審請求(チャージバック)管理のAI自動化、57カ国から102カ国へのStripe Tax拡大、クレジットカード発行、現地通貨入金、フィンテック企業向けのサービス強化といった60以上の新機能も加わった。これら一連の取り組みにより、Stripeは決済サービスの柔軟性と拡張性を一層高め、世界企業の成長とグローバル展開を強力に後押ししていくとしている。
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