
TISとKort Valuta、決済システム内製化に向け共同開発を開始
TISとKort Valutaは5月22日、Kort Valutaの決済システム内製化を目的とした共同開発を開始したと発表した。AWSクラウド基盤上でのミッションクリティカルな決済オーソリゼーションシステムの構築を目指す。TISは高レジリエンスなシステム開発の知見を提供し、Kort Valutaは決済事業運営のノウハウを活かして開発に取り組む。
今回の共同開発では、TISが独自に検証したソフトウェアスタック「Lerna」を活用する。これにより、高可用性と高スループットを実現し、柔軟な機能拡張が可能な決済オーソリゼーションシステムを構築する。Kort Valutaは、給与デジタルマネー払いへの対応やステーブルコインの発行など、新たなサービス展開を見据えており、システムの柔軟性とレジリエンスの向上を図る。
背景には、国内でのキャッシュレス決済の普及がある。経済産業省の調査によると、2024年時点でキャッシュレス決済手段のうち、クレジットカードが8割以上を占めている。しかし、従来のオーソリゼーションシステムは高価な専用ハードウェアを必要とし、システム開発やメンテナンスの負担が大きかった。これにより、新たな決済サービスの展開スピードや運用コストに課題があった。
Kort Valutaは、企業や団体の従業員・会員向けにVisaプリペイドカードの発行および決済プラットフォーム「TwooCa」を提供している。これまでは一部に他社のSaaSサービスを利用していたが、独自カスタマイズの制約があった。今後の新規事業展開に向けて、システムの内製化とクラウド化を進めることを決定した。
TISは、共同開発が終了する2026年9月以降、Kort Valuta向けに開発したオーソリゼーションシステムをベースに、さまざまな決済手段に対応した「クラウド型オーソリサービス」として他のFinTech事業者や決済事業者へ展開する予定である。Visa以外のブランドへの対応も視野に、プリペイド・デビット・クレジットなど多様な決済手段の支援を強化し、国内外でのキャッシュレス・DX推進をさらに後押しするとしている。
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