
三菱UFJグループ、マネーツリー株式譲渡で基本合意 金融データ活用の新展開へ
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)傘下の三菱UFJ銀行および子会社のウェルスナビと、資産管理・金融データサービスを展開するマネーツリーは、2025年5月27日、マネーツリーの株式譲渡に向け基本合意書を締結したと発表した。
2012年創業のマネーツリーは、安全・オープンな金融データ基盤を特徴とし、国内外約2,500以上の金融機関やサービスと接続するAPI「Moneytree LINK」を提供してきた。銀行やフィンテック企業、ERP・会計ソフトウェア会社など約120社に活用されており、汎用性の高いAPIやセキュリティ対策、プライバシー保護が大きな強みとなっている。個人向けには、銀行口座や電子マネー、クレジットカード、証券口座などの一括管理アプリ「Moneytree」を展開。AIによる支出分類やポイント通知といった機能により、約650万人のユーザーに家計管理サービスを提供している。
MUFGは、資本再編後もマネーツリーのオープン性や公平なサービスが維持・強化されるよう支援を続ける方針だ。特に高度な金融データ基盤や高いセキュリティ水準を活かし、MUFG以外の企業や金融機関にも引き続きサービスを提供するとしている。
MUFGグループでは2026年度後半をめどに新たなデジタルバンクの開業を予定しており、その中心機能として、三菱UFJ銀行とウェルスナビが協働開発する総合型アドバイザリー・プラットフォーム「MAP(Money Advisory Platform)」への導入を進める。MAPは膨大な金融データとAIによる最適提案を組み合わせるもので、マネーツリーの高度なデータ収集・構造化技術と650万人分の依拠データが強みを発揮し、一人ひとりに合わせた提案やアドバイスが可能となる。
さらに、MUFGグループの約6,000万顧客基盤とマネーツリーのユーザー層に対し、双方のサービス案内や送客連携を強化。お互いの顧客基盤拡大に資する施策も推進する。また、法人領域でも1,500行を超える金融機関とのデータ活用によるAI審査モデルの高度化や、中小企業向けSaaS「Moneytree Business」を活用した融資審査の精度向上・業務効率化など、様々な協働が予定されている。
今後は株式譲渡の最終合意・契約締結を速やかに進め、決定次第公表していく考えだ。