
信用金庫の離職防止と生産性向上へ 全信協とHRBrainが業界横断エンゲージメント調査を本格稼働
全国信用金庫協会(全信協)とHRテック企業HRBrainは、信用金庫職員のエンゲージメントを可視化し、離職防止と生産性向上を図る共同スキームを本格始動した。核となるのはHRBrainのエンゲージメントサーベイ「HRBrain 組織診断サーベイ EX Intelligence」。回答データをもとに職員の期待と実態のギャップを数値化し、組織課題を浮き彫りにするサービスだ。
背景には、信用金庫業界が抱える人材確保の危機がある。少子高齢化や地方人口の流出で採用競争が激化し、職員数は減少傾向にある。離職を防ぎ、若手の定着を促すためには働きがいの向上が不可欠だが、各金庫単独では自行の状態を客観的に測定しにくい課題があった。
新スキームでは、全信協が窓口となり全国の信用金庫に「EX Intelligence」を紹介。導入した金庫は自行のスコアをリアルタイムで把握できるほか、一定数の参加が集まると全信協が業界平均値を算出し、年1回フィードバックする。自行の強み・弱みを同業平均と比較検証できる仕組みは業界初となる。
HRBrainは専任データアナリストが設問設計から集計、レポーティングまでを支援。離職予兆の検知や部門別分析、改善アクションの優先順位付けまで行い、タレントマネジメント機能と連動させることで、人材配置や育成計画にも活用できる。導入後はコンサルタントが継続伴走し、効果測定と施策の修正を繰り返すPDCAサイクルを構築する。
今後は、若手から管理職までのキャリア開発支援や能力開発プログラムをサーベイ結果と連動させ、エンゲージメント向上と生産性向上を同時に実現する方針。HRBrain副社長の白井崇顕氏は「地域経済を支える信用金庫が、職員一人ひとりの熱意と成長を高めることで、持続可能な金融インフラを強化したい」と語る。
全信協は2026年度までに30超の信用金庫で導入を目指し、良好事例を横展開する計画だ。
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