
日立がFINOSに加盟、決済と資産運用の国際標準化とUX向上へ
日立製作所は24日、金融ITの国際標準化を担う「Fintech Open Source Foundation(FINOS)」にシルバーメンバーとして加入したと発表した。FINOSはLinux Foundation傘下で、銀行やフィンテック企業を中心に100社超が参加するコミュニティ。日立は決済や資産運用サービスにおけるセキュリティ強化とユーザーエクスペリエンス(UX)の向上を掲げ、OSSとAI活用に関するベストプラクティスの共有を進める。
金融業界ではAPI連携やOSSを前提としたサービス開発が一般化している一方、地域ごとに異なる個人情報保護規制や地政学リスクへの対応が課題となっている。AIの急速な普及で新たなサイバー脅威も浮上し、グローバルかつ中立的な標準化の重要性は増している。
日立はこれまで、認証・認可OSS「Keycloak」のメンテナとして金融グレードAPI標準(FAPI)対応機能を実装するなど、国際規格適合の知見を蓄積してきた。また2024年に設立した自社OSPOでは、OSS戦略の立案やコミュニティ貢献のノウハウを外部企業と共有し、業界全体の開発力向上に寄与している。
今回のFINOS参画により、同社はワーキンググループでグローバル規制に準拠した技術仕様作成やAI利用ガイドライン整備を主導する方針だ。OSSを軸に透明性の高い技術ガバナンスを確立し、コミュニティへ成果を還元することで、金融サービスの相互運用性向上と開発コスト削減を狙う。さらに、AI時代の新種サイバー脅威に対してはリスク分析手法や対策手順を業界横断で共有し、安全性と利便性の両立を図る。
日立は「FINOS参画を通じ、セキュアで快適な金融体験を世界の利用者に届ける」とコメント。国内外の金融機関やパートナー企業との連携を深め、オープンなエコシステム形成を加速させる考えだ。
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