
DTS、ブロックチェーン犯罪対策向け「TRM Labs」提供開始 クロスチェーン追跡でAMLを強化
DTSは6月25日、米サンフランシスコのTRM Labsが開発した暗号資産追跡・リスク管理ツール「TRM Labs」の国内提供を開始した。対象は政府機関、金融機関、暗号資産交換業者などで、マネー・ローンダリング対策(AML)やテロ資金供与対策(CFT)、さらにはブロックチェーンを利用した犯罪捜査を支援する。
TRM Labsの最大の特徴は、十数種類の主要ブロックチェーンを横断して資金の流れを追跡できるクロスチェーン分析機能にある。資金洗浄の手口として増えている「チェーンホッピング」を可視化し、資金の出所と送金先をひも付けられる点が従来ツールとの差別化ポイントだ。世界最大規模の暗号詐欺報告プラットフォームとも連携しており、新手の詐欺スキームや制裁回避行為もリアルタイムで確認できる。
機能は大きく四つに分かれる。Forensicsは取引の送信元・送信先アドレスを追跡し、異常パターンを自動抽出する捜査支援ツール。Transaction Monitoringは制裁対象のみならず広範なリスクシナリオをカバーし、暗号資産の入出金を継続的に監視する。Wallet Screeningでは送金前に高リスクウォレットを瞬時に判定でき、Know-Your-Entityはオンチェーンとオフチェーン双方の情報を利用し、取引先事業者の信用度を評価する。
暗号資産市場は急成長を続ける一方、ハッキングやランサムウェア、脱税などの犯罪は頻度・規模ともに拡大している。犯罪者はトランザクションを細分化したり、プライバシーコインを経由したりと、従来ツールの検知を回避する手段を高度化させているのが実情だ。DTSはシステムインテグレーターとして培った金融分野のノウハウを生かし、TRM Labsの導入コンサルティングから運用支援までワンストップで提供することで、国内のレギュレーション遵守と金融インフラの安全性向上を後押しする考えである。
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