
ソニー銀行、Sunrise活用し金融機関向け独自ブロックチェーン実証開始
ソニー銀行は6月26日、ブロックチェーン「Sunrise」を開発するシンガポールのCauchyEが運営する「MyLayer Prototyping」プログラムに採択され、金融機関における専用ブロックチェーンの実証実験(PoC)を開始したと発表した。目的は、規制に準拠したシームレスなWeb3サービスを提供するための技術的・法的課題を洗い出し、独自チェーンの有効性を検証することにある。
実証ではまず、金融機関が自ら運用するブロックチェーンに必須となるSovereign Rollupの採用可否や、外部からの強制送金(Force Tx)を防ぐアーキテクチャを検討する。併せて、ステーブルコインの発行と利用に特化したチェーン構築、ソニーグループが推進するブロックチェーン基盤「Soneium」との相互運用性検証、さらにSunriseが備えるLiquidity Hubを通じたDeFiサービス提供の論点整理も行う予定だ。
背景には、世界的に拡大するWeb3経済圏と、それに伴うマネー・ローンダリングやテロ資金供与対策の必要性がある。ソニー銀行は5月発表の子会社設立計画を踏まえ、リスクベース・アプローチで不正取引防止策を徹底しつつ、安心・安全で利便性の高いブロックチェーン環境の構築を狙う。
同行は昨年、クリエイターとファンの経済圏を支援するアプリ「Sony Bank CONNECT」をリリースしており、今回の専用チェーンも同アプリとの連携を視野に入れる。NFT展示など既存機能に加え、規制準拠のステーブルコイン決済や資産管理サービスを提供できれば、ユーザー体験の向上が見込める。
Sunriseは、Proof of Liquidityを中核にデータ可用性レイヤーとLiquidity Hubを組み合わせたL1チェーンで、異なるチェーン間の流動性を統合する「Interliquid Networks」を志向する。
ソニー銀行は「検証結果を踏まえ、安全性と利便性を両立する新しい金融サービスの可能性を探る」としており、PoCの成果は今後のサービス設計や業務提携の判断材料となる見通しである。
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