
シダックス4.2万人に前給&福利厚生アプリ「シダックスPAY」始動、アプラスときらぼしが支援
アプラスときらぼしテックは11日、両社が連携してシダックスグループ従業員向けデジタルウォレット「シダックスPAY」の提供を開始したと発表した。対象は全国の事業所で働くパート・アルバイトを含む約4万2千人。働いた範囲内の給与を必要な時にスマートフォンで即時受け取れる「前給」をはじめ、社内割引ECやオンライン決済、残高管理などをまとめて利用できる。
シダックスはフードサービス、車両運行、社会サービスなど多岐にわたる事業を展開しており、従業員の勤務形態も多様だ。特に食堂や保育施設など生活密着型の現場では、採用競争力を高めるうえで福利厚生の充実が急務となっていた。新アプリにより給与日前の資金需要に応えつつ、キャッシュレス化による業務効率向上とグループ共通ポイントの付与なども検討する。
基盤となる「BANKIT」はアプラスが提供する金融プラットフォームで、送金、前払式支払手段、与信機能などをモジュール化。導入企業は必要な機能だけを選択できるカフェテリア方式が特徴だ。今回のプロジェクトでは送金、残高管理、プリペイドカード発行の三つを採用している。一方、きらぼしテックの「ララPayプラス」はアプリ画面を柔軟にカスタマイズでき、ロゴやバナーをシダックス仕様に変更することでブランド統一を図った。
給与情報との連携はAPIで自動化されており、会社側の経理負荷を抑制しながら24時間365日の資金移動に対応する。ユーザーはアプリ上のスライダーで希望金額を入力すると最短数秒で口座またはウォレットに着金する仕組みだ。手数料はシダックスが一部補助し、従業員の負担を最小限に抑えた。
政府は2023年にデジタルマネーでの賃金支払いを解禁したが、大規模企業での本格導入はまだ少ない。シダックスPAYは制度変更を踏まえた先行事例となり、他社の後続導入に与える影響も大きいとみられる。アプラスときらぼしテックは「前給は人材不足が深刻な業界で離職防止に直結する」と説明し、今回の実績をもとに製造業や小売業への横展開を進める方針だ。両社は2027年度までに100万IDの獲得を目標に掲げ、市場拡大を狙う。
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