
バンキングアプリ「My Pallete」でマイナンバー活用のeKYC本人確認を提供開始
NTTデータは2025年6月2日、同社の金融機関向けバンキングアプリ「My Pallete」において、公的個人認証(JPKI:Japan Public Key Infrastructure)を活用したeKYC(電子的本人確認)サービスの提供を開始した。マイナンバーカードを用いて非対面での本人確認を実現し、銀行口座開設や各種金融取引の手続きに活用できる。
本サービスは2025年1月に京都銀行、5月末までに千葉興業銀行・岩手銀行・秋田銀行・七十七銀行が導入を開始している。マネーロンダリングや不正な口座開設など金融犯罪への対策強化が求められる中、「犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯収法)」に準拠した高いセキュリティ性を持つeKYCの導入が急務となっていた。
今回の新しいeKYCの特徴は、利用者がバンキングアプリをインストールしたスマートフォンにマイナンバーカードをかざし、暗証番号を入力するだけで、JPKIを用いた厳格な本人確認が完了する点にある。これは犯収法施行規則第六条1項1号「ワ方式」に対応し、ICチップ内蔵のマイナンバーカードを使った公的個人認証機能をNTTデータが提供する「BizPICO」と連携して実現している。
金融機関側も、NTTデータが用意した公的個人認証用SDK(ソフトウェア開発キット)をMy Palleteアプリに組み込むだけでサービス導入が可能となり、独自開発コストや導入までの時間を大幅に削減できる。これにより、金融機関にとっても、個人ユーザーにとっても利便性・安全性が向上し、デジタル社会における金融サービスの普及促進が期待される。
政府は2024年6月に「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を発表し、マイナンバーカードの普及・活用を進めている。金融業界でも、なりすましや犯罪収益移転を防ぐ手段強化は経営課題であり、NTTデータはこれまでの実績をもとにJPKIによる本人確認サービスの展開を進めてきた。
今後についてNTTデータは、2026年度にはパスワードを使わない認証技術「FIDO」とeKYCサービスの連携による本人認証の高度化を予定。JPKIの活用領域拡大とあわせ、2027年度中には25社へのサービス提供を目指すとしている。
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